ブックメニュー★「本」日の献立

今日はどんな本をいただきましょうか?

【正解が見えない課題を圧倒的に解決する 超仮説思考】高野研一

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物事に取り組む前に仮説を立ててみる、というのはここのところよく言われています。

読書も読み始める前に、この本は何が書かれているんだろう?と仮説を立ててからのほうがより理解できたり、読むスピードが上がったりできるようです。

なので私も読書する前に、仮説を立ててから読んでみています。あくまで「仮説」なので、違っていたら途中修正もしていいのです。まぁ、大概修正してますね😁

本書はビジネス書なので、いかにいいアイデアを出すかとか、売り上げを伸ばすかなど仮説を立てて仕事に活かす方法が書かれています。

現にジョブズやベゾス、孫正義柳井正松下幸之助など、ビジネスで成功した人の名前が出てきます。そういえばカルロス・ゴーンも載ってたなー(しかも最後に)。あの人も経営者としては一流だったんでしょうね……。

でも私はどのように仮説を導くか、普段の生活に活かせるかの観点で読んでみました。

 まず禅の話が出てきます(ジョブズが好んでいたので、けっこうビジネス書に出てきますね)。

禅の世界では、何が真理かはモノの見方によって変わるという考え方

絶対的に思われる「真理」も変わるんだ、というのが著者が禅を取り上げる意味です。

著者のいう「超仮説」とは「グーグルで検索しても出てこない仮説のこと」でこれをいかに「たぐり寄せるか。それがこの本のテーマ」といいます(グーグルで検索、が面白い視点)。

検索できれば、それは誰かがすでに考えてることですね。「超」はまだ誰も考えていないこと。あるいは実行していないこと。

ここからは「超仮説」を実際にたぐり寄せるためのエクササイズです。

〈新しいモノの見方〉→「問題の構造を考え」「定義を変えてみることで、新しいモノの見方をあぶり出す」禅の応用がここで出てきます。唯一の正解があるという前提を疑って、イマジネーション(想像力)を広げます。

前提条件は唯一だ、と思っているとなかなか新しさには行き着かないでしょう。

「いつか変わるのではないか」「こうすれば変えられるのではないか」という発想が重要

あるいは本当に変えられないのか「疑ってみる」。

前提があるのは難しい問題を考えるうえで非常にラクなんですが、そのぶん可能性を狭めます。

自分のモノの見方を変えられる人は(略)ありのままの世界を見ることができる

ありのままとは、余計なものがなくなって素直な(真の)視点を得て見られる、ということでしょうか?余計なものとは、過去の自分が体験したことにもとづく先入観です。確かにそれがないとものごとの判断がスピーディーにいきません。このあたりのバランスは難しいですね。

〈自分に見えない世界〉→「大きな価値を生み出せるアイデアは、自分に見えない世界の中ににあることを認識する」自分に見えない世界……それが検索しても出てこないものです。その世界の存在をまず意識するのです。

イデアを何か出すとき、紙に書き出してみます。たくさん書いてみてこれで満足、と眺めてみます。

でもそれは「自分に見える世界」です。「書かれていないものが、自分に見えない世界」なのです。

イマジネーション(想像力)がここで試されます。見えない世界を想像するのです。

〈視点を移す〉→じゃイマジネーションをどうやって鍛えるか?

高野さんは「視点を移す(ずらす)」ことを教えてくれます。それは自分以外の人の視点で見る、つまり誰かの立場で見てみることです。

 いろんな立場の人に出会って、話を聞いたり状況をみたり……。

って、そんな時間もないしコロナの影響でいろんな場所にも行けないし……。しかしコロナだからこそ注目になったのがネットでのコミュニケーション。確かに実際に会うよりはリアリティーは落ちますが、逆になかなか出会えない人とも会える可能性はある。

そこまで気張らなくてもそれこそ世の中の見方を変えてみれば、イマジネーションを広げられるのです。著者はいいます。

もはや主役は製品(物)ではない。人が主役の時代になった

これは商売の話でのことですが、つまり「これからの時代において価値を持つのは(略)エンジニアではない。人が何に喜びを感じるかを知るとともに、社会を成り立たせる知恵を持った」人が主役になるということです。

フェイスブックのいいねとかアマゾンのおすすめとか、感情を拾い上げて情報発信できる、社会を作り上げられることがこれから(いやすでに)重要になるということです。

SNSやネットはもはや社会を形づくっている世界ですが、怒りの要素も世界的に作られてしまっているところもあります。それはいやですね。しかも怒りは拡散しやすいという。

想像力をもっと慎重に発揮したいものです。そこで禅が有効かもしれません。以下は著者が西洋から東洋思想に移ってきているものとしていることです。

「人が主役の時代に代わると、もはや唯一の真実があるというアプローチが通用しなくなる」

「唯一」は、西洋思想の核の部分です。「人の心に物理的な制約などない」のです。

いや、精神的な制約だってないかもしれません。だから単純に面白いと飛びつく自由があるのです……。それがとんでもないことか、価値あることか、見分けがつきますか?

それを指し示す力のある人が例えばビジネスで成功するんでしょう。

 

何か成功した人の行動はよく「考えてみれば当たり前のこと」と思われます。自分だってやろうとしてたのに……と。

でも「誰も思いつかなかったアイデアをたぐり寄せ」て実行に移すせるのは自分の中にも外にも「制約」があって並大抵のことではないのです。本書ではその難しさも分かります。